V-to-I (Voltage to Current Converter)について

VtoIは入力のアナログ電圧信号を電流信号に変換します。変換すると言っても何でもいいわけではなく、その際に重要になるのが線形性です。つまり、理想的には比例定数$R$として$IR=V$が成り立つよう変換します。

VtoIの用途としては、PLLのループ内で電圧信号を変換したり、BGRの低電圧を元に程電流を生成したりなどがあります。特にPLLにおいては高い線形性が要求されます。

基本構成は下図です。アンプが$V_x$と$V_{in}$が等しくなるようにM0に負帰還をかけ、結果的にM0が$I_1=V_{in}/R$の電流を流します。この電流をM1にコピーして外部回路に電流を供給します。

V-to-I

原理は簡単です。オームの法則から$I_1=V_x/R$です。
ここで、負帰還アンプによって理想的には$V_x=V_{in}$となるので、$$I_1=V_{in}/R$$となります。
シリコン上で抵抗素子はほぼ線形ですから、これにより綺麗な線形変換がされます。

上記において$V_x=V_{in}$としていますが、これはアンプの利得が全ての帯域、振幅条件において無限大と仮定した場合です。実際にはアンプの有限の利得と非線形性がVtoI変換の非線形となります。

アンプの利得を$A$、M0のトランスコンダクタンスを$g_m$とすると、$$I_1=\frac{g_mA}{1+g_mRA}V_{in}$$が得られます。

アンプの利得が十分に高ければ$I_1 \sim V_{in}/R$となるため、仮に利得$A$が非線形でもVtoI変換は線形性が保たれます。しかし、利得$A$が低いと利得の非線形性がVtoIの非線形に繋がってしまいます。そのため、VtoIの線形性を保つためにはアンプの利得を十分高くすることが重要です。

下のグラフはアンプの利得(gain)を振った時のVtoI変換の様子をシミュレーションしたものです。
利得が20dBではアンプが非線形の時と線形の時とで差がありますが、40dBでは差はほとんどありません(グラフには書いていませんが、20dBでは大きく歪むのに対して40dBでは歪みはほとんどありませんでした)。

あくまで特定の条件における結果ですが、利得を高くすることの重要性は分かるかと思います。

入力振幅が大きいときには、アンプは広い動作範囲で高い利得が必要となります。どのような構成のアンプが適しているのかはまたそのうち書きたいと思います。

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