ひとくちにレベルシフト回路といっても様々な構成があるようですが、
本頁ではレベルシフト回路の構成まとめで記載した構成のうちデジタル信号のレベルシフト回路についてその動作原理を説明します。
レベルシフト回路(プルアップ抵抗)
集積回路では見ない構成ですが、ネットではよく見かけますね。
ディスクリートや電子工作での需要があるんでしょうか。
動作原理は単純で、$V_{in}$をプルアップ抵抗とMOSFETで抵抗分圧して$V_{out}$を作っているだけです。
M1の抵抗を$r$とすると、
$$V_{out}=\frac{r}{r+R}(5-V_{in})+V_{in}$$
となります。
$V_{in} = 0V$のときにはM1はonするため、$\frac{r}{R}\ll1$となります。したがって、
\begin{eqnarray}
V_{out} &=& \frac{\frac{r}{R}}{\frac{r}{R}+1}(5-V_{in})+V_{in} & \\
&=& \frac{0}{0+1}(5-0)+0 & \\
& \\
&=& 0V
\end{eqnarray}
逆に、$V_{in} = 3.3V$のときにはM1はoffで、$\frac{R}{r}\ll1$です。したがって、
\begin{eqnarray}
V_{out} &=& \frac{1}{1+\frac{R}{r}}(5-V_{in})+V_{in} & \\
&=& \frac{1}{1+0}(5-3.3)+3.3 & \\
&\\
&=& 5V
\end{eqnarray}
となります。
レベルシフト回路(CMOS)
集積回路でレベルシフト回路といえばこちらです。
上述したプルアップ抵抗を用いた構成より小面積・小消費電力で実装できます。
入力がHからLに切り替わった時の動作を見てみます。
- 初期状態として入力H、出力Hの状態を考えます。
- 入力がHからLに切り替わります。すると、M3はoffし、M4はonします。
M4がonするとM1のゲートからグラウンドへ電流が引き抜かれますが、
M2もonなのでM1のゲートはHとLの中間電位となり、M1は弱くonします。 - 弱くonしたM1からM2のゲートに電流が流れ込みます。このときM3はoffなので、M2のゲートは完全にHとなりM2はoffします。
- M2がoffしたことで、中間電位だったM1ゲートは完全にLに落ちます。
その結果、出力はLとなり、それ以上電流が流れることはありません。
入力がLからHへの切り替わりも同様の動作です。
M2とM4のオン抵抗のバランスがちゃんとしていないとM1をonさせることができず、レベルシフタとして機能しなくなってしまいます。デジタル信号のレベルシフトといえど、回路自体はアナログ回路ですのでそれぞれのMOSの調整が必要です。
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